彫刻できないボトルと彫刻に向かないボトル

お酒に彫刻をさせて頂いております。

ただし数ある瓶の種類の中には、彫刻が出来ないボトルや、彫刻に向かいないボトルもございますので、それらのボトルのご説明をさせて頂きます。

まずは彫刻出来ないボトルのご説明の前に、どうやって彫るのかをご説明をさせて頂きます。

ボトルを彫刻する方法について

当社が硝子を彫るのに使っている『サンドブラス』という技法で彫刻をするのですが、硝子を彫刻する際に必ず必要になるのが、養生シートです。

この養生シートがないと硝子を彫刻する事が出来ないのですが、当社がこの養生シートとして使用するのはサンドブラスト専用で開発された厚手特殊な『(黄緑色の)カッティングシート』です。

当社お客様のご要望をヒアリングさせて頂き、そのヒアリング情報を基にデザインソフトでデザイン(彫刻用のデータ)を作成させて頂きます。

パソコンで制作させて頂いたデザインを0.01㎜以内の誤差で、当社のカッティングマシンで養生シート(サンドブラスト用カッティングシート)に切り出しをして、下記図の様に彫刻する素材に貼ります。

何故この養生シートが必要かと申しますと、サンドブラストで硝子を彫る際は高圧の空気に砂を乗せ、その高圧の空気&砂を一気に硝子に吹き付けをして硝子を彫っていくのですが、この砂は固い部分のみを彫る事が出来て、逆に柔らかい物(養生シート)に当たると跳ね返る(彫る事が出来ない)という性質があるのです。

この性質を利用し、パソコンで作ったデザインを養生シートに切り出しをして硝子に彫っていくのです。

何故この硝子の彫り方の説明をさせて頂いたかと申しますと、この養生シートが貼れないと彫れないと言う事をご説明したかったからです。

彫刻出来ないボトル

サンドブラストでボトルを彫刻する場合、彫刻出来ないタイプのボトルが存在します。

それらの彫刻出来ないタイプのボトルをご紹介させて頂きます

熱転写プリントがされているボトル

熱転写プリントとは、特殊なシートにデザインを印刷し、そのシートを熱と圧力で瓶に定着させる方法なのですが、最近はこのタイプの熱転写ラベルのお酒が増えてきております。

当社でボトルを彫刻する際に、一番最初にやる事は彫刻面の確保です。

彫刻面の確保とは、ラベルを剥がすところから作業を始めるのですが、お酒のラベルというのは大きく分けて3種類あります。

  1. 紙にラベルを印刷してそれを接着剤で瓶に貼る
  2. ラベルをシールで制作して瓶に貼る
  3. ラベルデザインを熱転写プリントでそのまま瓶に転写する

この3種類のうち①と②はキレイにラベルを剥がす事が出来るので彫刻可能なのですが、③の熱転写プリントされたラベルやデザインに関しましては剥がす事がそもそも出来ません。

よって③の熱転写でプリントされている瓶に関しては彫刻不可とさせて頂きます。

瓶の表面に凹凸がついている

最近はオシャレな形のボトルや、最初からボトルに文字やロゴマークなどで凹凸があるものがありますよね。

彫刻の際に使用する養生シートは、彫刻素材に貼る時に空気が入らない様&シワにならない様にキレイに貼らなくてはいけません。

理由は、養生シートに空気が入ったり・シワが出来ていたりする場合、彫刻作業の際に(高圧の空気で砂を吹き付けする際)、その空気圧で養生シートが剥がれ失敗の原因となってしまう為です。

当社が使用している養生シートは、シート自体に伸縮性が無いので、彫刻素材に凹凸がある場合や、丸み帯びた瓶はキレイに養生シートを貼る事が出来ないのです。

よって、ボトル表面に凹凸がある瓶と丸み帯びた瓶は、養生シートをキレイに貼る事が出来ないので彫刻不可とさせて頂きます。

彫刻は可能ですがオススメしないボトル

この項では彫刻は可能ですが、オススメはしないというボトルをご紹介させて頂きます。

当社にご注文を下さるお客様の中には、お酒の銘柄指定のお客様が多数いらっしゃいます。

Aさん
どうしてもその銘柄のお酒で彫ってもらいたい

B君
贈る人がその銘柄のお酒しか飲まないので…

と言われるお客様がいらっしゃるのですが、その銘柄のお酒がこの彫刻は可能だがオススメしないボトルだったと言う事がよくあるのですが、その場合は、当社より下記のオススメしない理由をお伝えさせて頂いております。

リサイクル瓶

皆さんはお酒の造像元(蔵元)はコストを抑える為に、お酒を詰める瓶を再利用する事があるのをご存知ですか?

お酒を詰める瓶の種類は大きく分けて2種類存在します。

一つは新しい瓶(新瓶)に詰めるお酒、もう一つはお酒販売後に一升瓶を回収&煮沸洗浄消毒をしてから、再度お酒を詰めて販売するリサイクル瓶の二種類です

上記図の左側のリサイクル瓶をご覧頂いておわかり頂ける通り、酒蔵では自動で煮沸洗浄消毒やお酒詰めるレーンの機械にかける際、瓶と瓶がガチャガチャとぶつかり合って出来る傷です。

瓶の傷ついた所は白くなり目立ってしまい彫刻後の仕上り時には、この細かい無数の傷が彫刻した部分以上に目立ってしまうのです。